★はじめに
 この物語は「世界樹の迷宮3」のストーリーを追いながら展開していくリプレイ式の小説です。
 物語は二人の少年がそれぞれのギルドで冒険をしながら進みます。ゲーム内容のネタバレに関わりますので、未プレイの方、プレイ状況が作者より進んでいない方はご注意下さい。
 システム的な決まりごとでは、サイコロで振った日数ごとにそれぞれのギルドの探索を行います。例えばプレイ前に6が出たらゲーム内日数で6日一方のギルドの冒険を行います。その後サイコロを振り次に3が出たら他方のギルドに切り替えて3日冒険します。ギルドや船はゲーム内では一つしか持てませんので、一つのギルドに統合して物語上別々として扱います。
 それぞれのギルドの活動は、
★ギルド『ツーカチッテ』:通常の小説形式
★ギルド『C.A.S.W』:ギルドメンバー「ナナビー」の日記形式

で綴られていきます。
 二つのギルドと二人の少年の冒険がこの迷宮の果てにどんな結末を迎えるのか、最後までお付き合いいただけましたら幸いです。

六代目 twitter

ナナビーのぼうけん(その1)

 皇帝ノ月 七日


 今日から、ついに僕の冒険者としての新しい人生が始まります。
 モッズさんからいただいた装備品を身につけて、いざ出発です!
 ナンナンが鳴いています、うーん……連れていっていいものなんでしょうか?


 現在昼過ぎです。
 僕が今日はじめてと言うことで、まずは簡単に樹海のイロハを教えていただくことになり、一旦戻ってきました。
 朝のミーティングではC.A.S.Wの皆さんと自己紹介をし合いました。
 モッズさんは前にも書きましたがバリスタ。頼りになるお兄さんという感じです。探索でも皆さんをぐいぐい引っ張っています。
 サカシノさんはファランクス。女性の方ながら重い装備で前線に立っていてすごいと思います。でも物腰の柔らかな優しそうな方です。
 テンマくんはシノビ。女性のシノビ(東方の国ではくのいちと言うそうです)の姿ですが男の子。理由はいろいろあるそうですが、とりあえず祖国のしきたりだということはわかりました。僕より年下ですがしっかりとした子に見えました。
 コーヴィアちゃんはゾディアック。テンマくんよりさらに年下の女の子です。ですが、立派に戦っていました。というか、星術の威力は誰の攻撃より強くてびっくりです。
 次の探索は夕方からなので体を休めておくように言われました。寝過ごさないよう気をつけながら休むことにします。
 あ、ナンナンについてはモッズさんが、
「そいつが責任を持てるならよし、そうでなければ君が責任を持て。賢者ノージ曰く『今、オレ達は……太陽と一緒に戦っている!』ってな。その子が君の、もしくは君がその子の太陽だというのならば、ずっと一緒にいたいだろ?」と言ってくださったので同行させていただきました。
 モンスターに出会うと荷物の影に隠れてしまいますが、お邪魔をすることもないのでよかったです。
 今「よかったね」と言ったら眠そうな顔で返事をしてくれました。
 僕も休みます。


 現在深夜です。
 今日のことをもうちょっときちんとまとめようと思います。
 まず朝、上にもちょっと書いたように自己紹介と今後のことを話し合いました。皆さんとても優しそうな方ですごく安心しました。今後のことというは結構簡単な話でした。
 皆さんはすでにそこそこの階まで探索を済ませているのだそうですが、僕が完全な初心者だから少しの間は探索に慣れるためにも一階をうろうろしようとのことでした。僕のために皆さんの探索が滞るのは本当に心苦しかったのですが皆さん笑って「頑張って」と言ってくださったので少し気が楽になりました。
 それと、モッズさんが「賢者ノージ曰く、『全は一、一は全』お前さんを加えると決めた時からオレたちゃ一つなんだ。未熟結構、その未熟なお前も含めてのこのギルドなんだからな」と言ってくれたので、もうそのことについてなにか言うのはやめようと思います。言うほうが失礼だと思いますので。
 それに今日の夕方にはサカシノさんにも褒めていただきました。
「随分とタフだし、見た目よりずっと度胸がありますね。普通は探索初日だったらもっとオドオドするものだし、緊張で数時間もいられない方もいるんですよ。私なんてヒドかったんですから」
「確かに、盾持ってられないくらいにガタガタになってたのは参ったもんだ。やっぱ農場暮らしってのは体力つくもんなんかね」
 モッズさんがからかうとサカシノさんは顔を赤くしていましたが、自分で言い出したので何も反論できないようで皆さん笑っていました。
 笑っていいのかわからないでいるとサカシノさんが、
「もう、モッズさんヒドいですよね」
 って微笑みかけてくれたので僕も笑いました。
 皆さん本当にいい人たちです。なんだか、頑張れそうです。
 ナンナンも皆にかわいがってもらってるし、よかった。本当によかったです。

 

 

皇帝ノ月 八日


 今日は朝のミーティングでモッズさんが「船も乗ってみるか?」と言ったので、昼過ぎまで海の上にいました。
 なんでも、元老院に認められた冒険者はあまり大きくはないですが船を支給されて、近海の探索も行うように言われてるのだそうです。
 港に行ってみると、確かにあまり大きくはないですが近海を回るには充分に立派な船が停泊していました。
「いい船だろ、『ラインオブミドゥ』ってんだ」
「ご飯がもたないから遠出できないのです」
 コーヴィアちゃんが言う通り、まだ遠出をするには保存食が足りないそうで、そういう技術を見つけて回るのも海を探索する目的の一つなんだそうです。でもモッズさんが言うには、いきなり遠くまで行かせたら危ないからある程度の食料があっても渡さないんだろうと言っていました。
 確かに、良く考えればうちで作っていた干し肉を持ってくるだけで結構な日数が賄えるはずなのでそういう部分はあるのだと思います。
 でも久しぶりに出た海の上はすごく気持ちよかったです。
 お父さんが生きていた頃は、知り合いの漁師さんの船に乗せてもらった事もあったっけ。


 それで、夕方からはまた少し樹海の探索をしに行ったのですが、昨日連れて言ってもらった場所で、使える素材が採れそうな場所があったのでそこへ連れて行ってもらいました。あまり大したものではありませんが、薬の材料になるものなども採れたので冒険者が樹海で手に入れたものを売りに行くと言うお店の店主さん、ええと、ネイピア商会というところだったと思います、そこの店主さんにも感謝されました。
 C.A.S.Wにはこういうのが出来る人がいないのだそうで、皆さんすごいすごいと言ってくれて、なんだかくすぐったいけど嬉しかったです。小さい頃から教わっていた知識が役に立って、海の上のことと合せてなんだかお父さんのことを思いだしてしまいました。
 ちょっとだけ、寂しいです。
 でもナンナンもしるし、何より今はC.A.S.Wの皆がいてくれるので大丈夫です!
 そういえば、今日は探索中に大きなネコに襲われました。
 みんな一瞬戸惑って、それから逃げました。多分アレは、僕がいると危ない相手だったんだと思います。皆さんだけなら勝てるのに、僕をかばってる余裕がなくて逃げた、そう見えました。
 強くなりたいです。心も体も。
 皆の足手まといにならないくらいに、それと、理不尽なことにイヤだと言えるくらいに。
 お父さんの農場を、いつか取り返せるくらいに……なれたらいいな……



もくじ

キャラクター紹介
★冒険記
プロローグA「放たれた少年ナーバン」
プロローグB「受難の少年ナナビー」
始まりの六日間
01 02 03 04 05 06
ナナビーのぼうけん
01 02

前作「ゆぐどらぐらし」
ツーカチッテ

C.A.S.W

selected entries

categories

archives

links

search this site.

others

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM